オープンイノベーションを生み出す理想の経営体制
競争の時代から共創の時代へ。そのためにはオープンイノベーションは欠かせません。それを機能させるための最適な組織形態が自律分散型組織であると考え、企業内にその組織を作り出すことで、様々なイノベーションが自立的に起こり、新たな仕組みが生み出される最適化された経営を志向しています。
オープンイノベーションを円滑に進めるためには、社員のメリットと会社のメリット、関わる全ての人たち(利害関係者)の方向性が同じ「合目的性」であることが非常に重要です。合目的性をいち早く見いだしたのはアリストテレス。意外と古くからある考え方です。
自律分散型組織で経営してから6年もの間、売上・営業目標といったものは無縁となりました。そうした経営指標が無くても各人が最善と考える行動をとるため、自然と売上が立ち利益が出て組織が機能しています。
現在当社では売上目標が無いので利益計画もありません。新規事業立案時にはもちろん作成しますが、あくまでも参考程度。売上目標の共有はありませんが、事業ビジョンやミッションの共有はしっかり行います。性善説で組織が機能している点が自律分散型組織の特長です。
自律分散型組織はこれからの新たな組織形態になると思い、創業から自らの組織で実践検証していますが、最適解があるわけでもなく模索が続く日々です。トップダウン組織の方がスピーディーな経営が可能ですが、自律分散型組織は参加者の意識形成(意志決定)に時間がかかるけれども最適解にたどり着くと信じています。
自律分散型組織は人数が増えてくるにつれて組織の維持と継続が難しいと感じる日々です。一般的な組織も組織を理解してはじめて機能するように、自律分散型組織も所属する人が仕組みを理解しないと機能しません。
現場レベルでの合意形成を大切にしていると無難な解に陥るのではないかと思いますが、最善である最適解になるケースがほとんどです。集合知は日本の得意とするところですが時間を要するのが欠点。参加者である社員の成長が会社の成長速度となります。
自律分散型組織で経営していると責任の所在が曖昧になりがちですが、会社という組織で実践している以上、全ては経営者の責任です。参加者同士の信頼に基づいて自律分散型組織が機能しているため、自由ではあるが反面厳しい世界です。参加者同士が信頼を失うと組織が途端に機能しなくなります。
それぞれが信頼を維持して自律分散型組織を機能させるために必要なことは、各自が決めたこと(役割)を確実に遂行することが大切です。自分で決めたことなので自己責任とも言えますが、それを周りが認知・チェックしているという点に違いがあります。決めたことが実行されると信頼という価値が増えるため、より自由を得られることになります。
信頼により価値を得て自由を得られるのは、市場経済そのものです。代表的なものとして、貨幣もそのひとつです。その価値を担保するもの。人の価値を担保する、信頼の連鎖が自律分散型組織には欠かせない要素です。
現在当社では自律分散型組織の形態でいかにスピーディーに経営してゆくのかというフェーズに来ています。なかなか難しいテーマですが、みんなが楽しく仕事に取り組んでゆくことが一番の近道ではないかと思い、日々の仕事に真剣に取り組んでいます。